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知っておきたい
精神科の
病名と症状

本コンテンツの解説は、厚生労働省「知ることからはじめようみんなのメンタルヘルス総合サイト」より引用・参考にさせていただいております。当院所属医師の学説・見解ではありませんので、ご了承ください。

アルコール依存症

大量のお酒を長期にわたって飲み続けることで、お酒がないといられなくなる状態が、アルコール依存症です。その影響が精神面にも、身体面にも表れ、仕事ができなくなるなど生活面にも支障が出てきます。
またアルコールが抜けると、イライラや神経過敏、不眠、頭痛・吐き気、下痢、手の震え、発汗、頻脈・動悸などの離脱症状が出てくるので、それを抑えるために、また飲んでしまうといったことが起こります。
アルコール依存症は「否認の病」ともいわれるように、本人は病気を認めたがらない傾向にあります。いったんお酒をやめても、その後に一度でも飲むと、また元の状態に戻ってしまうので、強い意志で断酒をする必要があります。ですから、本人が治療に対して積極的に取り組むこと、家族をはじめ周囲の人のサポートがとても大切です。

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うつ病

眠れない、食欲がない、一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといったことが続いている場合、うつ病の可能性があります。
うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスが重なることなど、様々な理由から脳の機能障害が起きている状態です。脳がうまく働いてくれないので、ものの見方が否定的になり、自分がダメな人間だと感じてしまいます。そのため普段なら乗り越えられるストレスも、よりつらく感じられるという、悪循環が起きてきます。薬による治療とあわせて、認知行動療法も、うつ病に効果が高いことがわかってきています。
早めに治療を始めるほど、回復も早いといわれていますので、無理せず早めに専門機関に相談すること、そしてゆっくり休養をとることが大切です

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解離性障害

解離性障害は、自分が自分であるという感覚が失われている状態といえるでしょう。
たとえば、ある出来事の記憶がすっぽり抜け落ちていたり、まるでカプセルの中にいるような感覚がして現実感がない、いつの間にか自分の知らない場所にいるなど、様々な症状があります。こうした中で、自分の中にいくつもの人格が現れるものを多重人格障害(解離性同一性障害)といいます。ある人格が現れているときには、別の人格のときの記憶がないことが多く、生活面での様々な支障が出てきます。
これらの症状は、つらい体験を自分から切り離そうとするために起こる一種の防衛反応と考えられています。治療では、安心できる環境にすること、家族や周囲の人が病気について理解することがとても大切です。 

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強迫性障害

強迫性障害では、自分でもつまらないことだとわかっていても、そのことが頭から離れない、わかっていながら何度も同じ確認をくりかえしてしまうことで、日常生活にも影響が出てきます。意志に反して頭に浮かんでしまって払いのけられない考えを強迫観念、ある行為をしないでいられないことを強迫行為といいます。たとえば、不潔に思えて過剰に手を洗う、戸締りなどを何度も確認せずにはいられないといったことがあります。こころの病気であることに気づかない人も多いのですが、治療によって改善する病気です。
「しないではいられない」「考えずにいらない」ことで、つらくなっていたり不便を感じるときには、専門機関に相談してみましょう。 

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睡眠障害

健康のために睡眠はたいへん重要です。睡眠は、心身の疲労回復をもたらすとともに、記憶を定着させる、免疫機能を強化するといった役割ももっています。健やかな睡眠を保つことは、活力ある日常生活につながります。
睡眠障害というと不眠症を考えがちですが、不眠症以外にも様々な病気があり、多くの人々が睡眠の問題を抱えていることがわかってきました。夜の睡眠が障害されると、眠気やだるさ、集中力低下など日中にも症状が出現します。睡眠の問題と日中の問題は、表と裏の関係にあるといってもいいでしょう。
このような、睡眠の問題や日中の眠気の問題が1カ月以上続くときは、何らかの睡眠障害にかかっている可能性が考えられます。
睡眠障害は、その原因によって治療法も異なります。適切な治療を受けるためにも、自分の睡眠状態や睡眠の問題を把握しておくことは重要です。

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摂食障害

摂食障害には食事をほとんどとらなくなってしまう拒食症、極端に大量に食べてしまう過食症があります。拒食症では、食事量が減る、低カロリーのものしか食べないことから体重が極端に減る、やせて生理がこなくなるといった症状があります。過食症は、いったん食べ始めるとやめられない、むちゃ食いしては吐く、食べすぎたことを後悔し、憂うつになるなどの症状がみられます。
拒食症から、過食症になることもあります。「やせたい」という強い思いがあるため、本人はなかなか治療したがりません。
しかし、低栄養から様々な体の不調につながり、死に至ることもある病気ですから、治療の重要性を伝えることが必要です。
摂食障害は、様々なストレスが要因となっていることも多く、周囲の人の理解やサポートがとても大切です。

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双極性障害(躁うつ病)

うつ病だと思いながらも、極端に調子がよくなって活発になる時期がある場合は、双極性障害(躁うつ病)かもしれません。
双極性障害では、ハイテンションで活動的な躁状態と、憂うつで無気力なうつ状態をくりかえします。躁状態になると、眠らなくても活発に活動する、次々にアイデアが浮かぶ、自分が偉大な人間だと感じられる、大きな買い物やギャンブルなどで散財するといったことがみられます。
躁状態ではとても気分がよいので、本人には病気の自覚がありません。そのため、うつ状態では病院に行くのですが、躁のときには治療を受けないことがよくあります。
しかし、うつ病だけの治療では双極性障害を悪化させてしまうことがあります。本人だけでなく、周囲の人も、日頃の様子や気分の波を見守り、躁状態に気づくことが大切です。

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適応障害

適応障害は、ある特定の状況や出来事が、その人にとってとてもつらく耐えがたく感じられ、そのために気分や行動面に症状が現れるものです。
たとえば憂うつな気分や不安感が強くなるため、涙もろくなったり、過剰に心配したり、神経が過敏になったりします。
また、無断欠席や無謀な運転、喧嘩、物を壊すなどの行動面の症状がみられることもあります。ストレスとなる状況や出来事がはっきりしているので、その原因から離れると、症状は次第に改善します。でもストレス要因から離れられない、取り除けない状況では、症状が慢性化することもあります。そういった場合は、カウンセリングを通して、ストレスフルな状況に適応する力をつけることも、有効な治療法です。

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統合失調症

統合失調症は、こころや考えがまとまりづらくなってしまう病気です。そのため気分や行動、人間関係などに影響が出てきます。統合失調症には、健康なときにはなかった状態が表れる陽性症状と、健康なときにあったものが失われる陰性症状があります。陽性症状の典型は、幻覚と妄想です。幻覚の中でも、周りの人には聞こえない声が聞こえる幻聴が多くみられます。
陰性症状は、意欲の低下、感情表現が少なくなるなどがあります。周囲から見ると、独り言を言っている、実際はないのに悪口を言われたなどの被害を訴える、話がまとまらず支離滅裂になる、人と関わらず一人でいることが多いなどのサインとして表れます。
早く治療を始めるほど、回復も早いといわれていますので、周囲が様子に気づいたときは早めに専門機関に相談してみましょう。

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認知症

認知症とは、正常に働いていた脳の機能が低下し、記憶や思考への影響がみられる病気です。認知症の中でいちばん多いアルツハイマー型認知症は、男性より女性に多くみられ、脳の機能の一部が萎縮していきます。血管性認知症は比較的男性に多くみられ、全体的な記憶障害ではなく、一部の記憶は保たれている「まだら認知症」が特徴です。症状は段階的に、アルツハイマー型よりも早く進むことがあります。初期は、加齢による単なる物忘れに見えることが多いでしょう。
しかし、憂うつ、外出をいやがる、気力がなくなった、被害妄想がある、話が通じなくなった、外出すると迷子になる、お金の勘定ができなくなったなどのサインが出てきたときには、専門機関に相談してみましょう。

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パーソナリティー障害

パーソナリティ障害は、大多数の人とは違う反応や行動をすることで本人が苦しんでいたり、周りが困っているケースに診断される精神疾患です。認知(ものの捉え方や考え方)や感情、衝動コントロール、対人関係といった広い範囲のパーソナリティ機能の偏りから障害(問題)が生じるものです。
注意したいのは、「性格が悪いこと」を意味するものではないということです。パーソナリティ障害には、他の精神疾患を引き起こす性質があります。パーソナリティ障害と合併したほかの精神疾患が前面に出ることが多いので、パーソナリティ障害は背後から悪影響を及ぼす黒幕のような病気だということができます。治療を進めるためには、患者と治療スタッフとが協力して問題を認識し、対策を検討するという作業が重要です。
最近の研究からも、この障害は経過中に大きく変化する、治療によって改善する可能性が高いものと考えられるようになっています。

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発達障害

発達障害は、生まれつき脳の発達が通常と違っているために、幼児のうちから症状が現れ、通常の育児ではうまくいかないことがあります。成長するにつれ、自分自身のもつ不得手な部分に気づき、生きにくさを感じることがあるかもしれません。
ですが、発達障害は「先天的なハンディキャップ」ではなく、「一生発達しない」のでもありません。発達の仕方が通常の子どもと異なっていますが、支援のあり方によって、それがハンディキャップとなるのかどうかが決まるといえます。
人は家庭環境や教育環境など、様々な外的要因に影響を受けながら一生を通して発達していく存在であり、発達障害の人も同様です。
つまり、発達障害の人にも成長とともに改善されていく課題が多くあります。幼い頃には配慮が受けられず困難な環境の中で成長してきた発達障害の人も、周囲からの理解と適切なサポートが得られれば、ライフステージのどの時点にあっても改善への道は見つかるでしょう。

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パニック障害・不安障害

突然理由もなく、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作を起こし、そのために生活に支障が出ている状態をパニック障害といいます。このパニック発作は、死んでしまうのではないかと思うほど強くて、自分ではコントロールできないと感じます。そのため、また発作が起きたらどうしようかと不安になり、発作が起きやすい場所や状況を避けるようになります。
とくに、電車やエレベーターの中など閉じられた空間では「逃げられない」と感じて、外出ができなくなってしまうことがあります。
パニック障害では薬による治療とあわせて、少しずつ苦手なことに慣れていく心理療法が行われます。無理をせず、自分のペースで取り組むことが大切です。周囲もゆっくりと見守りましょう。

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PTSD

PTSD(Post Traumatic Stress Disorder : 心的外傷後ストレス障害)は、強烈なショック体験、強い精神的ストレスが、こころのダメージとなって、時間がたってからも、その経験に対して強い恐怖を感じるものです。震災などの自然災害、火事、事故、暴力や犯罪被害などが原因になるといわれています。突然、怖い体験を思い出す、不安や緊張が続く、めまいや頭痛がある、眠れないといった症状が出てきます。
とてもつらい体験によって、誰でも眠れなくなったり食欲がなくなったりするものですが、それが何カ月も続くときは、PTSDの可能性があります。ストレスとなる出来事を経験してから数週間、ときには何年もたってから症状が出ることもあります。こうしたつらい症状が続いているときは、専門機関に相談しましょう。

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薬物依存症

薬物依存症とは、大麻や麻薬、シンナーなどの薬物をくりかえし使いたい、あるいは使っていないと不快になるため使い続ける、やめようと思ってもやめられないという状態です。こうなると日常生活に支障が出てもやめられない、また薬物を手に入れるためになりふりかまわなくなるといったことが出てきます。
欲しいという欲求が我慢できなくなる精神的依存、クスリがなくなると不快な離脱症状が出る身体的依存があります。また、体がクスリに慣れてくるため、同じ効果を感じるためにクスリの量が増えてしまいます。
一度だけのつもりでも、気がつくと薬物依存症になってしまうことがあります。また一度やめても、また手を出してしまうこともあります。ですから、クスリをやめた後も、二度とやらないという強い気持ちが必要です。

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性同一性障害

女性なのに、自分は「本当は男なんだ、男として生きるのがふさわしい」と考えたり、男性なのに「本当は女として生きるべきだ」と確信する現象を「性同一性障害(gender identity disorder, GID)」と呼びます。このような性別の不一致感から悩んだり、落ち込んだり、気持ちが不安定になることもあります。性同一性障害については、まだ理解が進んでいるとはいえず、診断や治療ができる病院も多くはありません。

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てんかん

てんかんは、突然意識を失って反応がなくなるなどの「てんかん発作」をくりかえし起こす病気ですが、その原因や症状は人により様々で、乳幼児から高齢者までどの年齢層でも発病する可能性があり、患者数も1000人に5人~8人(日本全体で60万~100万人)と、誰もがかかる可能性のあるありふれた病気のひとつです(1)。
「てんかん発作」は、脳の一部の神経細胞が突然一時的に異常な電気活動(電気発射)を起こすことにより生じますが、脳のどの範囲で電気発射が起こるかにより様々な「発作症状」を示します。
しかし症状は基本的に一過性で、てんかん発作終了後は元通りの状態に回復することが特徴です。原因は様々で、脳腫瘍や頭部外傷後遺症などの明らかな原因がある場合は「症候性てんかん」、原因不明の場合は「特発性てんかん」と呼ばれます。
治療は適切な抗てんかん薬を服用することで、大部分の患者さまでは発作は抑制され通常の社会生活を支障なくおくれます。
一方、抗てんかん薬では発作を抑えることができず、「難治性てんかん」として複数の抗てんかん薬の調整や外科治療などの専門的なてんかん治療を必要とする場合もあります。

【参考文献】
(1)大塚頌子、赤松直樹、加藤天美、ほか:日本におけるてんかんの実態
日本のてんかん患者数の推定、てんかん研究27 巻3 号:408-411、2010

本コンテンツの解説は、厚生労働省「知ることからはじめようみんなのメンタルヘルス総合サイト」より引用・参考にさせていただいております。当院所属医師の学説・見解ではありませんので、ご了承ください。

アルコール依存症

アルコール依存症

大量のお酒を長期にわたって飲み続けることで、お酒がないといられなくなる状態が、アルコール依存症です。その影響が精神面にも、身体面にも表れ、仕事ができなくなるなど生活面にも支障が出てきます。
またアルコールが抜けると、イライラや神経過敏、不眠、頭痛・吐き気、下痢、手の震え、発汗、頻脈・動悸などの離脱症状が出てくるので、それを抑えるために、また飲んでしまうといったことが起こります。
アルコール依存症は「否認の病」ともいわれるように、本人は病気を認めたがらない傾向にあります。いったんお酒をやめても、その後に一度でも飲むと、また元の状態に戻ってしまうので、強い意志で断酒をする必要があります。ですから、本人が治療に対して積極的に取り組むこと、家族をはじめ周囲の人のサポートがとても大切です。

うつ病

うつ病

眠れない、食欲がない、一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといったことが続いている場合、うつ病の可能性があります。
うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスが重なることなど、様々な理由から脳の機能障害が起きている状態です。脳がうまく働いてくれないので、ものの見方が否定的になり、自分がダメな人間だと感じてしまいます。そのため普段なら乗り越えられるストレスも、よりつらく感じられるという、悪循環が起きてきます。薬による治療とあわせて、認知行動療法も、うつ病に効果が高いことがわかってきています。
早めに治療を始めるほど、回復も早いといわれていますので、無理せず早めに専門機関に相談すること、そしてゆっくり休養をとることが大切です

解離性障害

解離性障害

解離性障害は、自分が自分であるという感覚が失われている状態といえるでしょう。
たとえば、ある出来事の記憶がすっぽり抜け落ちていたり、まるでカプセルの中にいるような感覚がして現実感がない、いつの間にか自分の知らない場所にいるなど、様々な症状があります。こうした中で、自分の中にいくつもの人格が現れるものを多重人格障害(解離性同一性障害)といいます。ある人格が現れているときには、別の人格のときの記憶がないことが多く、生活面での様々な支障が出てきます。
これらの症状は、つらい体験を自分から切り離そうとするために起こる一種の防衛反応と考えられています。治療では、安心できる環境にすること、家族や周囲の人が病気について理解することがとても大切です。 

強迫性障害

強迫性障害

強迫性障害では、自分でもつまらないことだとわかっていても、そのことが頭から離れない、わかっていながら何度も同じ確認をくりかえしてしまうことで、日常生活にも影響が出てきます。意志に反して頭に浮かんでしまって払いのけられない考えを強迫観念、ある行為をしないでいられないことを強迫行為といいます。たとえば、不潔に思えて過剰に手を洗う、戸締りなどを何度も確認せずにはいられないといったことがあります。こころの病気であることに気づかない人も多いのですが、治療によって改善する病気です。
「しないではいられない」「考えずにいらない」ことで、つらくなっていたり不便を感じるときには、専門機関に相談してみましょう。 

睡眠障害

睡眠障害

健康のために睡眠はたいへん重要です。睡眠は、心身の疲労回復をもたらすとともに、記憶を定着させる、免疫機能を強化するといった役割ももっています。健やかな睡眠を保つことは、活力ある日常生活につながります。
睡眠障害というと不眠症を考えがちですが、不眠症以外にも様々な病気があり、多くの人々が睡眠の問題を抱えていることがわかってきました。夜の睡眠が障害されると、眠気やだるさ、集中力低下など日中にも症状が出現します。睡眠の問題と日中の問題は、表と裏の関係にあるといってもいいでしょう。
このような、睡眠の問題や日中の眠気の問題が1カ月以上続くときは、何らかの睡眠障害にかかっている可能性が考えられます。
睡眠障害は、その原因によって治療法も異なります。適切な治療を受けるためにも、自分の睡眠状態や睡眠の問題を把握しておくことは重要です。

摂食障害

摂食障害

摂食障害には食事をほとんどとらなくなってしまう拒食症、極端に大量に食べてしまう過食症があります。拒食症では、食事量が減る、低カロリーのものしか食べないことから体重が極端に減る、やせて生理がこなくなるといった症状があります。過食症は、いったん食べ始めるとやめられない、むちゃ食いしては吐く、食べすぎたことを後悔し、憂うつになるなどの症状がみられます。
拒食症から、過食症になることもあります。「やせたい」という強い思いがあるため、本人はなかなか治療したがりません。
しかし、低栄養から様々な体の不調につながり、死に至ることもある病気ですから、治療の重要性を伝えることが必要です。
摂食障害は、様々なストレスが要因となっていることも多く、周囲の人の理解やサポートがとても大切です。

双極性障害(躁うつ病)

双極性障害(躁うつ病)

うつ病だと思いながらも、極端に調子がよくなって活発になる時期がある場合は、双極性障害(躁うつ病)かもしれません。
双極性障害では、ハイテンションで活動的な躁状態と、憂うつで無気力なうつ状態をくりかえします。躁状態になると、眠らなくても活発に活動する、次々にアイデアが浮かぶ、自分が偉大な人間だと感じられる、大きな買い物やギャンブルなどで散財するといったことがみられます。
躁状態ではとても気分がよいので、本人には病気の自覚がありません。そのため、うつ状態では病院に行くのですが、躁のときには治療を受けないことがよくあります。
しかし、うつ病だけの治療では双極性障害を悪化させてしまうことがあります。本人だけでなく、周囲の人も、日頃の様子や気分の波を見守り、躁状態に気づくことが大切です。

適応障害

適応障害

適応障害は、ある特定の状況や出来事が、その人にとってとてもつらく耐えがたく感じられ、そのために気分や行動面に症状が現れるものです。
たとえば憂うつな気分や不安感が強くなるため、涙もろくなったり、過剰に心配したり、神経が過敏になったりします。
また、無断欠席や無謀な運転、喧嘩、物を壊すなどの行動面の症状がみられることもあります。ストレスとなる状況や出来事がはっきりしているので、その原因から離れると、症状は次第に改善します。でもストレス要因から離れられない、取り除けない状況では、症状が慢性化することもあります。そういった場合は、カウンセリングを通して、ストレスフルな状況に適応する力をつけることも、有効な治療法です。

統合失調症

統合失調症

統合失調症は、こころや考えがまとまりづらくなってしまう病気です。そのため気分や行動、人間関係などに影響が出てきます。統合失調症には、健康なときにはなかった状態が表れる陽性症状と、健康なときにあったものが失われる陰性症状があります。陽性症状の典型は、幻覚と妄想です。幻覚の中でも、周りの人には聞こえない声が聞こえる幻聴が多くみられます。
陰性症状は、意欲の低下、感情表現が少なくなるなどがあります。周囲から見ると、独り言を言っている、実際はないのに悪口を言われたなどの被害を訴える、話がまとまらず支離滅裂になる、人と関わらず一人でいることが多いなどのサインとして表れます。
早く治療を始めるほど、回復も早いといわれていますので、周囲が様子に気づいたときは早めに専門機関に相談してみましょう。

認知症

認知症

認知症とは、正常に働いていた脳の機能が低下し、記憶や思考への影響がみられる病気です。認知症の中でいちばん多いアルツハイマー型認知症は、男性より女性に多くみられ、脳の機能の一部が萎縮していきます。血管性認知症は比較的男性に多くみられ、全体的な記憶障害ではなく、一部の記憶は保たれている「まだら認知症」が特徴です。症状は段階的に、アルツハイマー型よりも早く進むことがあります。初期は、加齢による単なる物忘れに見えることが多いでしょう。
しかし、憂うつ、外出をいやがる、気力がなくなった、被害妄想がある、話が通じなくなった、外出すると迷子になる、お金の勘定ができなくなったなどのサインが出てきたときには、専門機関に相談してみましょう。

パーソナリティー障害

パーソナリティー障害

パーソナリティ障害は、大多数の人とは違う反応や行動をすることで本人が苦しんでいたり、周りが困っているケースに診断される精神疾患です。認知(ものの捉え方や考え方)や感情、衝動コントロール、対人関係といった広い範囲のパーソナリティ機能の偏りから障害(問題)が生じるものです。
注意したいのは、「性格が悪いこと」を意味するものではないということです。パーソナリティ障害には、他の精神疾患を引き起こす性質があります。パーソナリティ障害と合併したほかの精神疾患が前面に出ることが多いので、パーソナリティ障害は背後から悪影響を及ぼす黒幕のような病気だということができます。治療を進めるためには、患者と治療スタッフとが協力して問題を認識し、対策を検討するという作業が重要です。
最近の研究からも、この障害は経過中に大きく変化する、治療によって改善する可能性が高いものと考えられるようになっています。

発達障害

発達障害

発達障害は、生まれつき脳の発達が通常と違っているために、幼児のうちから症状が現れ、通常の育児ではうまくいかないことがあります。成長するにつれ、自分自身のもつ不得手な部分に気づき、生きにくさを感じることがあるかもしれません。
ですが、発達障害は「先天的なハンディキャップ」ではなく、「一生発達しない」のでもありません。発達の仕方が通常の子どもと異なっていますが、支援のあり方によって、それがハンディキャップとなるのかどうかが決まるといえます。
人は家庭環境や教育環境など、様々な外的要因に影響を受けながら一生を通して発達していく存在であり、発達障害の人も同様です。
つまり、発達障害の人にも成長とともに改善されていく課題が多くあります。幼い頃には配慮が受けられず困難な環境の中で成長してきた発達障害の人も、周囲からの理解と適切なサポートが得られれば、ライフステージのどの時点にあっても改善への道は見つかるでしょう。

パニック障害・不安障害

パニック障害・不安障害

突然理由もなく、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作を起こし、そのために生活に支障が出ている状態をパニック障害といいます。このパニック発作は、死んでしまうのではないかと思うほど強くて、自分ではコントロールできないと感じます。そのため、また発作が起きたらどうしようかと不安になり、発作が起きやすい場所や状況を避けるようになります。
とくに、電車やエレベーターの中など閉じられた空間では「逃げられない」と感じて、外出ができなくなってしまうことがあります。
パニック障害では薬による治療とあわせて、少しずつ苦手なことに慣れていく心理療法が行われます。無理をせず、自分のペースで取り組むことが大切です。周囲もゆっくりと見守りましょう。

PTSD

PTSD

PTSD(Post Traumatic Stress Disorder : 心的外傷後ストレス障害)は、強烈なショック体験、強い精神的ストレスが、こころのダメージとなって、時間がたってからも、その経験に対して強い恐怖を感じるものです。震災などの自然災害、火事、事故、暴力や犯罪被害などが原因になるといわれています。突然、怖い体験を思い出す、不安や緊張が続く、めまいや頭痛がある、眠れないといった症状が出てきます。
とてもつらい体験によって、誰でも眠れなくなったり食欲がなくなったりするものですが、それが何カ月も続くときは、PTSDの可能性があります。ストレスとなる出来事を経験してから数週間、ときには何年もたってから症状が出ることもあります。こうしたつらい症状が続いているときは、専門機関に相談しましょう。

薬物依存症

薬物依存症

薬物依存症とは、大麻や麻薬、シンナーなどの薬物をくりかえし使いたい、あるいは使っていないと不快になるため使い続ける、やめようと思ってもやめられないという状態です。こうなると日常生活に支障が出てもやめられない、また薬物を手に入れるためになりふりかまわなくなるといったことが出てきます。
欲しいという欲求が我慢できなくなる精神的依存、クスリがなくなると不快な離脱症状が出る身体的依存があります。また、体がクスリに慣れてくるため、同じ効果を感じるためにクスリの量が増えてしまいます。
一度だけのつもりでも、気がつくと薬物依存症になってしまうことがあります。また一度やめても、また手を出してしまうこともあります。ですから、クスリをやめた後も、二度とやらないという強い気持ちが必要です。

性同一性障害

性同一性障害

女性なのに、自分は「本当は男なんだ、男として生きるのがふさわしい」と考えたり、男性なのに「本当は女として生きるべきだ」と確信する現象を「性同一性障害(gender identity disorder, GID)」と呼びます。このような性別の不一致感から悩んだり、落ち込んだり、気持ちが不安定になることもあります。性同一性障害については、まだ理解が進んでいるとはいえず、診断や治療ができる病院も多くはありません。

てんかん

てんかん

てんかんは、突然意識を失って反応がなくなるなどの「てんかん発作」をくりかえし起こす病気ですが、その原因や症状は人により様々で、乳幼児から高齢者までどの年齢層でも発病する可能性があり、患者数も1000人に5人~8人(日本全体で60万~100万人)と、誰もがかかる可能性のあるありふれた病気のひとつです(1)。
「てんかん発作」は、脳の一部の神経細胞が突然一時的に異常な電気活動(電気発射)を起こすことにより生じますが、脳のどの範囲で電気発射が起こるかにより様々な「発作症状」を示します。
しかし症状は基本的に一過性で、てんかん発作終了後は元通りの状態に回復することが特徴です。原因は様々で、脳腫瘍や頭部外傷後遺症などの明らかな原因がある場合は「症候性てんかん」、原因不明の場合は「特発性てんかん」と呼ばれます。
治療は適切な抗てんかん薬を服用することで、大部分の患者さまでは発作は抑制され通常の社会生活を支障なくおくれます。
一方、抗てんかん薬では発作を抑えることができず、「難治性てんかん」として複数の抗てんかん薬の調整や外科治療などの専門的なてんかん治療を必要とする場合もあります。

【参考文献】
(1)大塚頌子、赤松直樹、加藤天美、他:日本におけるてんかんの実態
日本のてんかん患者数の推定、てんかん研究27 巻3 号:408-411、2010